10.162017
5.<ヒンディー語の文字結合のしくみ3>
こんにちは、カルチスタッフです。
前回に引き続き、どのような仕組みでヒンディー語の⽂字が結合するのかを⾒ていきましょう。
⼿順は次の4つです。
(1)ヒンディー語の単語を⾳節で区切る
(2)変形しやすいように⽂字を並べ替える
(3)フォントファイルに収録されている情報に基づいて⽂字を変形する
(4)フォントファイルに収録されている情報に基づいて記号の位置を調整する
今回は、
(3)フォントファイルに収録されている情報に基づいて⽂字を変形する
について説明したいと思います。
⽂字の変形は、⾳節の中だけで起こります。
⾳節について詳しく知りたい⽅は3.<ヒンディー語の⽂字結合のしくみ1>を復習してください。
■フォントファイルに収録されている情報について■
フォントファイルには「GSUB」と呼ばれる⽂字変形情報が含まれています。
「GSUB」は「Glyph substitution data」の略です。ここでは、「グリフ置換情報」と呼びます。ヒンディー語では、複数の基本の⽂字を1つの結合⽂字に置き換えて表現する必要があるため、この「グリフ置換情報」が不可⽋です。
簡単に「グリフ置換情報」の中⾝を説明します。
下に⽰す表が「グリフ置換情報」の⼀例です。ここでは「グリフ置換情報」の⼀部のみを紹介しています。「グリフ置換情報」のデータ数は、フォントにより異なります。ヒンディー語フォントの場合は、500 程度の置換データが含まれます。
次に、表<GSUB データ例>をどのように使うかを説明します。
ヒンディー語の単語中の⽂字列と、この表を照らし合わせて、⽂字列中に、下表「⽂字1〜⽂字3」の並びがあった場合は、「置き換え後の⽂字」と置き換えます。
<GSUB データ例>Index1 は、
ヒンディー語の単語中に、 の並びがあった場合、この3⽂字を 1⽂字に置き換える
という指⽰を表します。
<GSUB データ例>
*レーパフォーム・下フォーム・半⼦⾳字フォームについては2.<ヒンディー語の結合⽂字>も参考にしてください。
■⽂字を変形してみよう■
3.<ヒンディー語の⽂字結合のしくみ1>、4.<ヒンディー語の⽂字結合のしくみ2>
でも取り上げた単語を使って、⽂字の変形を⾒ていきましょう。
例1)ヒンディー語の「こんばんは」① ヒンディー語の単語を⾳節で区切る
4⾳節に区切ることができます。② 変形しやすいように⽂字を並べ替える
4⾳節とも並べ替え前と後で⽂字の順番は変わりません。③ フォントファイルに収録されている情報に基づいて⽂字を変形する
前述の表<GSUB データ例>を元に⽂字を置き換えます。
⽂字の置き換えは⾳節ごとに⾏います。
・1⾳節⽬は、<GSUB データ例>中の「⽂字1〜⽂字3」に該当する並びがないため、置き換えは起こりません。
・2⾳節⽬は、⽂字が1つしかないため、置き換えは起こりません。
・3⾳節⽬は、<GSUB データ例>中の「⽂字1〜⽂字3」に該当する並びがないため、置き換えは起こりません。
・4⾳節⽬は、1⽂字⽬・2⽂字⽬が、<GSUB データ例>中のIndex12 の「⽂字1・⽂字2」と⼀致するため、置き換えが起こります。
置き換え後の⽂字はこのようになります。
例2)ヒンディー語の「冬」① ヒンディー語の単語を⾳節で区切る
4⾳節に区切ることができます。② 変形しやすいように⽂字を並べ替える
2⾳節⽬の⽂字の順番が⼊れ替わっています。③ フォントファイルに収録されている情報に基づいて⽂字を変形する
前述の表<GSUB データ例>を元に⽂字を置き換えます。
⽂字の置き換えは⾳節ごとに⾏います。
・1⾳節⽬は、⽂字が1つしかないため、置き換えは起こりません。
・2⾳節⽬は3⽂字⽬・4⽂字⽬が、<GSUB データ例>中のIndex3 の「⽂字1・⽂字2」と⼀致するため、置き換えが起こります。・さらに、2⾳節⽬の2⽂字⽬と、置き換え後の3⽂字⽬が、<GSUB データ例>中のIndex14 の「⽂字1・⽂字2」と⼀致するため、置き換えが起こります。
置き換え後の⽂字はこのようになります。例1、例2とも、結合⽂字の形まであと⼀歩です。
次回はヒンディー語の⽂字が結合するための最後の⼿順について説明したいと思います。
カルチスタッフ